「事務職で働きたいなら、正社員を目指すべき」
そんなふうに考えて、派遣という働き方を最初から選択肢から外していませんか?
派遣会社で営業・採用に携わる中で、さまざまな方の働き方を見てきました。
派遣として経験を積み、その後、派遣先企業から直接雇用に切り替わった方もいます。
一方で、目指していた事務職に就けた方、希望していた働き方を実現できた方、ワークライフバランスを大切にしながら自分らしく働いている方もいました。
「派遣だから、その先のキャリアが広がらない」
私は、そうは思いません。
派遣という働き方を、自分が望む仕事や働き方に近づくための一つの選択肢として活用することもできます。
この記事では、派遣と正社員を単純に比較するのではなく、未経験から事務職を目指す方に「派遣から始める」という選択肢を知ってほしいと思い、採用・派遣営業の現場で見てきたことも交えながらお話しします。
未経験から事務職を目指すなら、派遣から始めるのもひとつの方法
未経験から事務職を目指すとき、最初から「正社員でなければ」と考える必要はありません。
もちろん、希望する企業の正社員求人に応募して、未経験から事務職をスタートするのも一つの方法です。
一方で、
「事務職の経験がなく、応募できる求人が少ない」
「まずは実務経験を積みたい」
という場合には、派遣から始める方法もあります。
派遣であっても、実際の職場でデータ入力や書類作成、電話対応、Excelを使った業務などを経験すれば、それは次の仕事につながる大切な実務経験になります。
また、実際に働いてみることで、
「こういう仕事が自分には合っているかも」
「思っていたより、この環境が働きやすいな」
と、求人票を見るだけでは分からなかったことに気づくこともあります。
今の自分がどんな経験を積みたいのか、どんな働き方をしたいのか。
そこから考えて、派遣を一つの入口として選ぶのもありだと思います。
派遣から事務職を始めると、どんな経験が積める?
派遣から事務職を始めるメリットの一つは、未経験からでも実務経験を積める求人があることです。
事務職は人気が高く、正社員求人では経験者が多く応募することもあります。
「未経験だから、応募できる求人が少ない……」
と感じている方にとって、未経験から応募できる派遣求人は、事務職への入口の一つになります。
ここでは、派遣から事務職を始めることで得られるメリットを3つ紹介します。
未経験から応募できる事務求人がある
「事務職は経験者じゃないと難しい」と思っている方もいるかもしれません。
もちろん、すべての求人が未経験OKというわけではありません。
それでも派遣には、未経験から応募できる事務求人があります。
データ入力や書類作成、電話対応など、基本的な事務業務から経験を積める求人もあるため、
「まずは事務職として働いてみたい」
という方にとっては、選択肢の一つになります。
求人を探すときは、「未経験OK」「事務未経験歓迎」という条件だけでなく、具体的な仕事内容や必要なPCスキルまで確認して、自分が挑戦できそうかを見てみましょう。
人気の事務職で、実務経験を積みやすい
事務職は人気が高く、未経験から正社員を目指す場合、経験者と同じ求人に応募することになるケースもあります。
そこで、まず派遣で実際の事務業務を経験してみる方法があります。
Excelを使ったデータ入力や資料作成、電話対応、書類の管理など、実際に仕事をしながら身につけたスキルは、次に事務職へ応募するときにも活かせます。
「事務職に応募できる経験がない」という状態から、
「事務職として働いた経験がある」という状態に変えられることは、大きな一歩です。
資格や勉強だけでなく、実際の仕事を通して経験を積むことも考えてみてください。
その先の働き方につながることもある
派遣で働き始めたからといって、その後もずっと同じ働き方を続けなければならないわけではありません。
経験を積んだ後に別の派遣先へステップアップする方もいれば、派遣会社との無期雇用契約で働く方、派遣先企業から直接雇用される方もいます。
実際、派遣先企業から直接雇用に切り替わった方も何人も見てきました。
もちろん、直接雇用だけが「成功」ではないと思います。
事務職として経験を積みながら、自分に合う仕事や職場を見つけたり、希望していた働き方を実現したりと、自分らしい働き方を見つけている方もいます。
派遣から始めることは、最終的な働き方を決めることではなく、その後の選択肢を増やすためのスタートになることもあります。
採用・派遣営業の現場で見てきた、派遣で働いたその先
ここまで「派遣から始める」という選択肢についてお話ししてきましたが、実際に派遣で働いた方は、その後どのようなキャリアを歩んでいるのでしょうか。
派遣会社の営業・採用の現場では、さまざまな理由で派遣を選び、その後の働き方につなげていく方を見てきました。
ここでは、その中から印象に残っている3つのケースを紹介します。

3つのケースに共通しているのは、「派遣で働くこと」そのものがゴールではなかったことです。
未経験から経験を積むため。
やりたい仕事に近づくため。
これまでの経験を活かしながら、生活とのバランスを整えるため。
派遣を選んだ理由も、その後のキャリアも、人によって違います。
派遣で働いた「その先」は、一つではありません。
だからこそ、「派遣だからこうなる」と決めつけるのではなく、自分がどんな仕事や働き方をしたいのかを考えて、そのための選択肢として派遣を使ってみることもできます。
最初から正社員を目指したほうがいい人もいます
ここまで派遣から始める選択肢について紹介してきましたが、もちろん、すべての人に派遣が向いているわけではありません。
「できれば最初から正社員として働きたい」という希望がはっきりしているなら、無理に派遣を選ぶ必要はありません。
たとえば、
- 希望する仕事内容や勤務地、勤務条件がある程度決まっている
- 未経験でも応募できる正社員求人に挑戦できる
- 転職活動に時間をかけて、自分に合う会社を探したい
- 一つの会社で長く働きながらキャリアを築いていきたい
という方は、最初から正社員を目指して転職活動をするのもいいでしょう。
派遣をおすすめしたいからといって、「未経験なら派遣のほうがいい」と決めつけるつもりはありません。
派遣にも正社員にも、それぞれの働き方があります。
だからこそ、「どちらが上か」ではなく、「今の自分にはどちらが合っているか」で考えてみてください。
派遣と正社員、迷ったら「今の自分が何を優先したいか」で考える
派遣と正社員、どちらにもそれぞれ良さがあります。
だから、「未経験なら派遣」「長く働くなら正社員」と決めつけるのではなく、今の自分が何を優先したいのかから考えてみると、自分に合う選択肢が見つけやすくなります。
まず事務職としての経験を積みたいなら、派遣も選択肢
「事務職として働いた経験がないので、まずは実務経験を積みたい」
そんな場合は、未経験から応募できる派遣求人を探してみるのも一つです。
実際の仕事を通してPCスキルや事務処理の経験を身につけられれば、その後の仕事探しでも経験として活かせます。
働きながら、自分に合う仕事や職場を見つけたいなら
求人票を見ただけでは、実際の仕事内容や職場の雰囲気までは分からないこともあります。
まず働いてみることで、
「こういう仕事が好きだった」
「このくらいの忙しさなら無理なく続けられる」
「こういう職場環境が自分には合っている」
と分かることもあります。
まだ自分に合う事務職や働き方がはっきりしていないなら、派遣を経験しながら探していく方法もあります。
直接雇用を前提に働きたいなら「紹介予定派遣」という方法もある
「派遣から始めたいけれど、できれば将来的には直接雇用で働きたい」
そんな方には、紹介予定派遣という働き方もあります。
一定期間、派遣社員として働いた後、派遣先企業との直接雇用を見据えて働く方法です。
実際に働きながら仕事内容や職場の雰囲気を確認できるため、
「入社してみたら、思っていた仕事と違った」
というミスマッチを減らせる可能性があります。
💡紹介予定派遣とは?
一定期間、派遣社員として働いた後、派遣先企業との直接雇用を念頭に置いた働き方です。
ポイント
- 実際に働いてから仕事内容や職場を確認できる
- 直接雇用を見据えて仕事を探せる
- 本人と企業双方の合意が必要
- 必ず直接雇用になるわけではない
通常の派遣とは違い、直接雇用を見据えて仕事を探せるのが特徴です。
「いきなり正社員として入社するのは少し不安。でも、直接雇用を目指したい」
そんな方は、こうした選択肢があることも知っておくといいでしょう。
ただし、直接雇用には本人と企業双方の合意が必要で、必ず採用されるわけではありません。
なお、紹介予定派遣の求人は、紹介予定派遣を取り扱っている派遣会社から紹介を受けてエントリーできます。
最初から希望する会社や働き方が決まっているなら、正社員を目指してもいい
反対に、「この会社で働きたい」「こういう仕事を長く続けたい」という希望が明確なら、最初から正社員を目指すのももちろんありです。
未経験歓迎の求人もありますし、経験がないからといって正社員への応募を諦める必要はありません。
求人票を見ながら、自分の経験やスキルと照らし合わせて応募先を探してみましょう。
「今の自分に必要なもの」から考えてみる
派遣と正社員のどちらにするか迷ったときは、こんなふうに考えてみると整理しやすくなります。
「まず事務経験がほしい」
→ 未経験から応募できる派遣求人も探してみる
「自分に合う仕事や職場を見つけたい」
→ 派遣で実際に働いてみるのも一つ
「希望する会社や条件が明確」
→ 正社員の求人にも積極的に挑戦する
「家庭や生活とのバランスを大切にしたい」
→ 雇用形態だけでなく、勤務時間や勤務地などの条件を優先して探す
正社員か派遣かを先に決めるのではなく、「自分は何を叶えたいのか」から考えてみる。
それだけでも、求人の探し方は少し変わってくるはずです。
未経験から派遣で事務職を始めるなら、派遣会社選びも大切
派遣で事務職を始めてみようと思ったら、次に考えたいのがどの派遣会社に登録するかです。
派遣会社によって、扱っている求人やサポート内容、担当者との関わり方などには違いがあります。
未経験から事務職を目指すなら、単純に「求人が多そうだから」という理由だけで決めず、次のようなポイントを確認してみてください。
未経験から応募できる事務求人があるか
まず確認したいのは、事務未経験から応募できる求人がどのくらいあるかです。
派遣会社に登録しても、経験者向けの求人ばかりでは、未経験から事務職を目指すのは難しくなります。
「未経験OK」「事務未経験歓迎」などの求人があるか、実際の求人を見てみましょう。
また、「未経験OK」と書かれていても、仕事内容や必要なPCスキルは求人によって異なります。
第8記事でも紹介したように、求人票の「未経験OK」という言葉だけで判断せず、仕事内容まで確認することが大切です。
→ 未経験事務の求人票の見方|採用・派遣営業の経験から「企業側の意図」まで解説
研修やキャリアサポートがあるか
未経験から事務職を目指す場合、PCスキルやビジネスマナーなどに不安を感じる方もいるでしょう。
そんなときは、登録後にどのような研修やキャリアサポートを受けられるのかも確認してみてください。
特に、
- ExcelなどのPC研修
- ビジネスマナー研修
- キャリア相談
- 就業後のフォロー
など、自分が不安に感じている部分をサポートしてくれるかは、派遣会社選びの参考になります。
求人票だけでは分からないことを相談できるか
もう一つ大切なのが、担当者に相談しやすいかどうかです。
仕事内容や必要なスキルについて、求人票を読んだだけでは分からないこともあります。
「事務未経験でも本当に大丈夫?」
「Excelはどの程度使えればいい?」
「職場の雰囲気はどんな感じ?」
こうした疑問を担当者に相談できれば、自分に合う求人なのかを判断しやすくなります。
派遣会社は、単に求人を紹介してもらう場所ではありません。
自分では分からない求人の情報を確認したり、仕事選びについて相談したりする場所としても活用してみてください。
派遣会社を選ぶときは、求人の内容だけでなく、担当者とのやり取りや就業後のサポートなども確認しておきたいポイントです。
実際にどんな派遣会社があるのか、事務未経験の女性が見るべきポイントとあわせて4社を比較しています。
→ 派遣会社、「大手だから」で選ばないで。事務未経験の女性が見るべき4つのポイント
まとめ|「派遣から始める」ことも、自分らしく働くための選択肢
未経験から事務職を目指すなら、最初から正社員だけに絞る必要はありません。
派遣には、未経験から事務職の実務経験を積める求人があります。
実際に働きながらPCスキルなどを身につけ、その後のキャリアにつなげていくこともできます。
派遣先で直接雇用になる方もいれば、経験を活かして別の仕事へステップアップする方、希望していた事務職に就く方、ワークライフバランスを大切にしながら働く方もいます。
今回紹介したように、派遣を選んだ先のキャリアは一つではありません。
もちろん、最初から希望する会社の正社員を目指せるのであれば、それも素敵な選択です。
大切なのは、「派遣か正社員か」という雇用形態だけで決めるのではなく、自分がどんな仕事をしたいのか、どんな働き方をしたいのかを考えること。
もし今、派遣と正社員のどちらにするか迷っているなら、求人を見たり、派遣会社や企業の担当者に話を聞いてみたりするところから始めてもいいと思います。
話を聞いたからといって、必ずその仕事を選ばなければいけないわけではありません。
実際に仕事内容を聞いたり、職場を見たりすることで、
「思っていたより自分に合っているかも」
と感じることもあれば、
「やっぱり違うな」
と分かることもあります。
転職活動では、そうした一つひとつの経験も、自分に合う仕事を見つけるための材料になります。
「未経験だから無理かも」と最初から選択肢を狭めずに、まずはいろいろな仕事や働き方を知ってみてください。
その中から、自分が納得できる一つを選んでいけば大丈夫です。


