無期雇用派遣はやめとけ?元採用担当がデメリットと向いている人を本音で解説

無期雇用派遣

「無期雇用派遣って、やめといた方がいいの?」

「正社員みたいに働けるって聞いたけど、本当?」

「配属先を選べないって聞くと、ちょっと不安……」

無期雇用派遣について調べると、「やめとけ」「おすすめしない」といった言葉を目にすることがあります。

たしかに、無期雇用派遣には応募する前に知っておいてほしいデメリットがあります。

一方で、未経験から事務職を目指したい人にとっては、事務経験を積むための選択肢のひとつでもあります。

これまで人材会社で、事務職の無期雇用派遣について、採用から配属、就業後のキャリア支援まで携わってきました。

面接では、

「正社員と何が違う?」
「配属先は選べる?」
「合わなかったら変えてもらえる?」
「派遣社員だと職場で浮かない?」

など、入社後の働き方についてたくさんの質問をいただきました。

この記事では、制度上のメリット・デメリットだけでなく、実際に応募者からよく聞かれた不安にも答えながら、入社後まで含めた無期雇用派遣の働き方をお伝えします。

※配属方法や給与、評価制度などは派遣会社によって異なります。この記事では一般的な制度に加えて実務経験も交えていますので、応募時には各社の最新情報も確認してください。

無期雇用派遣とは?正社員・登録型派遣との違い

無期雇用派遣とは、派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結び、派遣先企業で働く働き方です。

事務職の無期雇用派遣では、派遣会社に入社したあと、取引先企業へ配属され、一般事務や営業事務などのオフィスワークを担当するサービスがあります。

ポイントは、「雇用される会社」と「実際に働く会社」が違うこと。

ここは初めて聞くと少し分かりにくいので、正社員・登録型派遣との違いを整理してみましょう。

  • 正社員:勤務先企業と雇用契約 → その企業で働く
  • 登録型派遣:派遣会社と有期の雇用契約 → 派遣先企業で働く
  • 無期雇用派遣:派遣会社と無期の雇用契約 → 派遣先企業で働く

ポイントは、登録型派遣と無期雇用派遣はどちらも「派遣先企業で働く」という点は同じでも、派遣会社との雇用契約の期間が異なることです。

また、派遣元に無期雇用されている派遣労働者は、いわゆる派遣の「3年ルール」による期間制限の対象外です。

ただし、

「無期雇用=同じ派遣先で定年まで働ける」

という意味ではありません。

「無期」とは、あくまで派遣会社との雇用契約に期間の定めがないということ。

同じ派遣先でずっと働き続けることを保証するものではない点は、理解しておきましょう。

無期雇用派遣が「やめとけ」と言われる5つの理由

1.配属先を自由に選べるとは限らない

無期雇用派遣の特徴であり、デメリットにもなりやすいのが配属の仕組みです。

登録型派遣なら、求人を見て「この会社で働きたい」と自分で選んで応募できます。

一方、無期雇用派遣では、本人の希望や適性、派遣会社が持っている案件などを踏まえて配属先が決められます。

勤務地や通勤時間、仕事内容などの希望を伝えることはできますが、条件を細かく限定するほど、候補となる配属先が少なくなる可能性があります。

「採用されたのに、なかなか配属先が決まらない」という場合も、まずは現在の求人状況や自分の希望条件について担当者に確認してみることが大切です。詳しくはこちらの記事で解説しています。

⇒無期雇用派遣の配属先が決まらない?決まるまでの流れと担当者に確認したいこと

「勤務先や仕事内容は自分で細かく選びたい」

という人は、登録型派遣や直接雇用の求人の方が合っている可能性があります。

2.一般的な正社員とは働き方が違う

無期雇用派遣では、派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結びます。

ただし、一般企業の正社員と大きく違うのは、雇用主とは別の会社で働くことです。

仕事内容も派遣契約に基づいて決められるため、正社員とまったく同じ範囲の仕事を担当するとは限りません。

「ひとつの会社に所属し、部署異動などもしながら長くキャリアを築きたい」という人には、一般的な正社員の方が合うかもしれません。

3.配属先が変わる可能性がある

ひとつの派遣先で長く働くケースもありますが、契約終了などによって別の企業へ再配属されることもあります。

環境が変わることに抵抗がある人にとってはデメリットです。

一方で、複数の企業や業務を経験することで、仕事の幅が広がることもあります。

ここをどう感じるかは、自分がどんなキャリアを築きたいかによって変わります。

4.大幅な給与アップは期待しにくい場合も

評価・昇給制度を用意しているサービスもあります。

ただし、

「毎年評価がある=給与が大きく上がっていく」

とは限りません。

給与アップを重視する人は、入社時の月給だけでなく、昇給、賞与、各種手当、評価制度なども確認しておきましょう。

5.「無期だから安心」だけで選ぶとギャップが生まれる

無期雇用という言葉から、「一度入社すれば安心」と感じる人もいるかもしれません。

雇用契約に期間の定めがないことは、たしかにメリットです。

ただ、採用から就業後のキャリア支援まで見てきて感じるのは、無期雇用派遣そのものをゴールにしなくてもいいということ。

未経験から事務経験を積み、その経験を直接雇用や次の転職につなげる。

そんなキャリアのつくり方もあります。

「長く雇ってもらえそう」だけでなく、

「ここで何を身につけたい?」

まで考えて選ぶことが大切です。

それでも無期雇用派遣を選ぶメリット

未経験から事務職に挑戦しやすい

未経験OKの事務求人でも、経験者が応募してくることはあります。

「事務職に就きたいけれど、経験がないからなかなか最初の一歩を踏み出せない」

そんな人にとって、未経験者の採用・育成を前提とした事務職の無期雇用派遣は、選択肢になります。

研修や就業後のサポートを受けられる

PCスキルやビジネスマナーなどの研修を用意しているサービスもあります。

また、働き始めたあとに、

「仕事についていけない」
「職場の人間関係で悩んでいる」

といったことがあれば、派遣会社の担当者に相談できることもメリットです。

幅広い企業で経験を積める可能性がある

メーカー、商社、金融、IT、医療、サービスなど、配属先となる業界はさまざまです。

大手企業やグループ会社などで働くケースもあります。

未経験者を受け入れるには、マニュアルやOJTなど、仕事を教えられる環境が必要です。

多くの社員や派遣社員を受け入れてきた企業では、こうした体制が整っていることもあります。

ただし、大手だから良い、中小だから良くない、ということではありません。

企業規模によって、それぞれ違った良さがあります。

もし「大手企業で働きたい」という希望があるなら、

「教育体制が整った環境で経験を積みたい」

など、その理由まで選考時に伝えておくのもひとつです。

次のキャリアにつながる実務経験をつくれる

無期雇用派遣からスタートし、配属先で仕事の幅を広げたり、その経験を次の転職に生かしたりすることもできます。

配属先での働きぶりなどが評価され、直接雇用につながるケースもあります。

もちろん、すべての人が直接雇用されるわけではありません。

それでも、

「事務経験なし」→「事務職の実務経験あり」

へ変わることは、その後のキャリアを考えるうえで大きな一歩になります。

元採用担当が答える|面接でよく聞かれた7つの不安

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はる

ここからは、事務職の無期雇用派遣の面接で実際によく聞かれた質問を中心に、採用・就業後の支援に携わった経験から答えていきます。

Q1.配属先は自分で選べる?希望はどこまで言える?

希望を伝えることはできます。

ただし、希望を聞いてもらえる=好きな求人を自由に選べる、ではありません。

勤務地や通勤時間のほか、業界、仕事内容、会社規模、残業などについて希望を確認することがあります。

そのうえで、面談や適性なども踏まえて、仕事内容や職場との相性を考えながら配属先を検討します。

たとえば会社が想定する通勤範囲よりかなり狭いエリアだけを希望すると、候補は少なくなります。

家庭の事情など、譲れない条件を無理に広げる必要はありません。

ただ、希望条件が多い場合は、

「絶対に譲れない条件」と「できれば叶えたい条件」

に分けておくと、配属先を検討しやすくなります。

勤務先や仕事内容を自分で選ぶことを最優先したいなら、登録型派遣も検討してみましょう。

Q2.提示された配属先は断れる?

会社によって対応が異なります。

初回の配属については、候補となる企業について相談しながら進められるサービスもあります。

実際に職場を見てみて、

「通勤してみたら想像以上に大変だった」
「仕事内容を聞くとイメージと違った」

と気づくこともあります。

職場見学をしたあとに「やっぱり自分には合わないかも」と感じた場合、どうすればいいのでしょうか。

職場見学後の「辞退」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

⇒ 無期雇用派遣の職場見学後に「辞退」はできる?断るときの伝え方

そんなときは無理に「大丈夫です」と言うのではなく、なぜ難しいと思ったのかを具体的に伝えることが大切です。

ただし、何社でも自由に比較して好きな勤務先を選べる働き方ではありません。

特に再配属では、会社から配属先を提示されるケースもあります。

配属の仕組みは会社によって異なるので、応募前に確認しておきましょう。

※派遣先による事前面接など、派遣労働者を特定することを目的とした行為は原則禁止されています。一方、本人の希望による職場見学は認められています。

⇒職場見学では実際に何をする?配属までの流れや準備について詳しく見る

Q3.なかなか配属先が決まらなかったら?

希望する時期から働けるよう配属が進められますが、必ず希望どおりの日に決まるとは限りません。

勤務地や仕事内容などの希望条件が限定的だったり、配属先との調整に時間がかかったりすることもあります。

特に確認してほしいのが、初回配属が決まる前の給与と、入社後に次の配属を待つ期間の給与です。

会社によって制度が異なるため、

「いつから雇用契約が始まる?」
「待機期間に給与は出る?」

は、入社前に確認しておくと安心です。

Q4.配属先が合わなかったら途中で変えてもらえる?

実際に働き始めてから、

「人間関係がうまくいかない」
「仕事についていけない」
「通勤が思った以上につらい」

と感じることはあります。

ただし、希望すればすぐ別の配属先へ変更できるとは限りません。

まずは、何に困っているのかを整理して担当者に相談することが大切です。

仕事のスキルに不安があるなら研修を利用する。コミュニケーションに悩んでいるなら、関係づくりについて一緒に考える。

小さな目標をつくり、今の職場で改善できることを試してみる方法もあります。

一方、ハラスメントなど安全に働き続けることが難しい問題があるなら、無理を続ける必要はありません。

「もう限界」になる前に、些細なことでも担当者へ相談する。

就業後の支援に携わってきた立場から、これはぜひ覚えておいてほしいと思います。

Q5.配属先にはどんな会社がある?

業界は幅広く、メーカー、商社、金融、IT、医療、サービスなど、さまざまな企業が候補になります。

仕事内容も一般事務・営業事務だけではなく、適性や経験などによって、経理、総務、人事、貿易事務などに携わることがあります。

大手企業やそのグループ会社が配属先になるケースもありますが、

「無期雇用派遣なら必ず大手企業で働ける」

というわけではありません。

気になるなら、説明会や面接で、

「どのような業界・企業への配属実績がありますか?」

と聞いてみるのもおすすめです。

Q6.「派遣だから」職場で浮かない?

就業後のフォローをしていたなかでは、「派遣だから疎外感がある」という相談は、それほど多くありませんでした。

社員の方と一緒に仕事をしたり、社内イベントに参加したり、自然に職場になじんでいる方もたくさんいました。

ただ、派遣契約に基づいて働くため、任せられる仕事の範囲などが正社員と異なることはあります。

最初から何でもできる必要はありません。

未経験からスタートし、少しずつできる仕事を増やしていくことを期待して受け入れている企業もあります。

挨拶をする、分からないことを確認する、周囲とコミュニケーションをとる。

どんな雇用形態でも、そんな小さな積み重ねが職場になじむ第一歩です。

Q7.評価制度はある?昇給する?

評価・昇給制度を設けている会社もあります。

たとえば、

「どんな仕事ができるようになりたいか」
「どんなスキルを身につけたいか」

といった目標を設定し、一定期間後に達成度を評価する仕組みです。

本人だけでなく、配属先や派遣会社の評価を取り入れるサービスもあります。

ただし、評価制度がある=大幅な昇給が期待できる、とは限りません。

せっかく評価制度があるなら、

「何を達成すれば評価につながるのか」

を目標設定の段階ですり合わせておくのがおすすめです。

そして1年後まで放置するのではなく、ときどき目標を振り返る。

評価制度を「評価されるため」だけでなく、自分のスキルアップに活用するという考え方も大切です。

無期雇用派遣が向いている人・慎重に考えた方がいい人

向いている人

  • 未経験から事務職に挑戦したい
  • まずは事務の実務経験をつくりたい
  • 研修などのサポートを受けながらスタートしたい
  • 就業後も相談できる環境がほしい
  • 勤務先を完全に自分で選ぶことより、経験を積むことを優先したい
  • 将来的な直接雇用や転職も含めてキャリアを考えたい

慎重に考えた方がいい人

  • 勤務する企業を自分で選びたい
  • 業界・勤務地・仕事内容など細かな条件を譲れない
  • 高い給与水準や大幅な昇給を最優先したい
  • ひとつの企業で長くキャリアを築くことにこだわりがある
  • 配属先が変わる可能性に強い抵抗がある

大切なのは、

「無期雇用派遣が合わない=事務職を諦める」ではない

ということ。

勤務先を自分で選びたいなら登録型派遣。企業に直接雇用されることを優先したいなら、正社員や契約社員の求人を探す。

働き方に自分を合わせるのではなく、自分が大切にしたい条件から働き方を選んでみてください。

「やめとけ」ではなく、キャリアの土台として上手に活用しよう

未経験から事務職を目指すとき、最初の「実務経験」をつくることに苦戦する人は少なくありません。

その点、未経験者の採用・育成を前提とし、事務職として働きながら研修やキャリア支援を受けられるサービスは、事務職としてのキャリアの土台をつくりたい人にとって合理的な選択肢だと思っています。

無期雇用派遣に就職すること自体を、ゴールにする必要もありません。

まず事務職として働いてみる。

PCスキルやビジネスマナーを身につける。

一般事務から営業事務、人事、経理、貿易事務などへ仕事の幅を広げる。

そして、その経験を直接雇用や次の転職につなげていく。

そんなキャリアのつくり方もあります。

もちろん、配属先を自由に選びにくいことや、給与面などのデメリットはあります。

だからこそ、

「無期だから安心そう」
「大手企業で働けそう」

というイメージだけでは選ばないでほしいと思います。

メリットとデメリットを理解したうえで、

「ここで何を身につけたい?」
「その経験を、次にどうつなげたい?」

まで考えてみる。

目的を持って上手に活用できるなら、無期雇用派遣は未経験から事務職を目指す人にとって、“賢い働き方”のひとつにもなり得ます。

就職することが、ゴールではありません。

その先にある「自分らしい働き方」まで考えながら、自分に合った選択肢を見つけてみてください。

この記事を書いた人
はる

元大手人材会社の採用担当。
未経験から事務職を目指す方の採用や、無期雇用派遣で働く方のキャリア支援に携わってきました。

国家資格キャリアコンサルタント。

「就職することがゴールではない」を大切に、採用する側で見てきたリアルな経験をもとに、自分らしい働き方を見つけるための情報をお届けします。

無期雇用派遣

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